原因や特徴・初期症状について

胃がんの基本情報

胃がんとは

胃は食物の消化を助ける臓器で、食道から運ばれてきた食物に対して強い酸性の胃液を混ぜてどろどろにし、小腸に少しずつ送り出しています。胃の内壁の表面には胃液や粘液を分泌する粘膜があり、ここにがんが生じます。

一般的に、発見されたがんが胃の壁面から盛り上がっていて、直径が2センチ以下あるいは、へこんでいてその直径が1センチ以下の場合は初期のがんとみなされます。胃がんは、かつては他の多くのがんと同様に、胃がんが発見されるととにかく胃の大部分を切除することが常識のようになっていました。

しかし、胃を大きく切り取ると、食べたものがすこしずつ小腸へ送り出されるという胃の働きが失われて食物がいっきに小腸に入るため、食事の後に冷や汗が出る、めまいがする、下痢をするといった様々な症状に患者は苦しみました。

これを避けるために近年では、切除部分はなるべく少なくし、小腸に食物を送り出す働きをしている幽門を残す手術法が増えています。同じ胃がんでも、食道の近くにできたものは、胃の下の方に出来た場合よりも、5年生存率がかなり低くなります。

また、スキルスという種類の胃がんは転移や浸潤を起こしやすいため、発見時にはすでに手術出来ないことが多く、手術した場合でも5年生存率は15~20%にすぎません

胃がんの分類

胃がんの種類は、肉眼で確認した時の病巣の形状の違いによって0~5型の6種類に分類されます。

0型(表在型)

早期がんに相当します。病巣は、肉眼的にはわずかに隆起しているかへこんでいる状態にすぎません。0型はさらに、病巣全体が隆起するⅠ型と、病巣が粘膜表面にとどまるⅡ型、病巣の表面が陥凹するⅢ型に分類されます。

ここからさらに、Ⅱ型はⅡa型(表面隆起型)、Ⅱb型(表面平坦型)、Ⅱc型(表面陥凹型)に分けられます。

1型(腫瘤型)

病巣がはっきりと盛り上がっていることが確認でき、周囲との境界が明らか。

2型(潰瘍限局型)

潰瘍状の病巣のまわりを厚くなった胃壁が堤防のように取巻きます。正常な組織との境界がはっきりとしています。

3型(潰瘍浸潤型)

病巣は潰瘍状で、まわりを胃壁の堤防が取り巻きますが粘膜との境界が不明瞭です。

4型(びまん浸潤型)

はっきりとした潰瘍ではない。胃壁が厚く硬くなり、病巣と周囲との境界が不明瞭。スキルス胃がんとも呼ばれています。

5型(分類不可能)

上述のどの型にもあてはまらず分類不可能なもの。

胃がんの原因

1.塩分

胃に対する刺激物として、塩辛いものの危険性が早くから指摘されてきました。 ふだんの食生活のなかで、地域的にいくら、塩辛、練りうになどの塩辛いものの占める割合の高い秋田県、山形県、新潟県、富山県などでは、胃がんの発症率が比較的に高いというデータがあります。

胃の中の食塩濃度が高くなると、粘膜がダメージを受けて発がん物質の影響を受けやすくなるといわれています。

2.喫煙、焦げ

タバコの煙にふくまれるニトロソアミンやジベンゾピレンなどの発がん物質が胃壁を刺激することにより、がんの発症につながるとみられています。

喫煙者は非喫煙者に比べて、胃がんの発症率が1.5~2倍になります。また、肉や魚のこげた部分に含まれるニトロソアミンも、胃がん発症の要因といわれています。

3.ピロリ菌

ふつうの菌が胃に入ると胃酸によって死滅してしまいますが、ピロリ菌は自ら胃酸を中和する酵素を出して胃の中に留まることができます。

94年には世界保健機関(WHO)がピロリ菌を「がん因子」として認定しました。ピロリ菌が長期間にわたって胃の中に滞在すると、胃の粘膜が薄くやせて、胃がんが発症しやすい状態になります。

4.遺伝子

胃がんの発症に関係あるとみられる遺伝子は10種類ほどあります。そのなかでも「RUNX3」がはたらかなくなると、胃の粘膜細胞が異常に増殖しはじめることがわかっています。

この遺伝子を破壊した細胞をマウスに移植すると、マウスが胃がんを発症したのです。また、人間の胃がん患者46人からとった組織の60%で、この遺伝子の機能停止が確認され、末期の胃がんでは90%の患者のRUNX3遺伝子が停止していました。

胃がんの症状

早期の胃がんの場合、特有の症状はありません。
胃に不快感や消化不良があったとしても、胃炎や潰瘍と考えて、発見されない場合があります。そのため、早期の胃がんの半数は、がん検診の際の内視鏡検査、X線撮影などによってみつかります。

早期の胃がんに見られる主な症状では、「上腹部の痛み」「胃のもたれ」「げっぷ」「吐血・下血」「胸焼け」
これらは、当初は空腹時に感じることが多いですが、進行とともに持続的に続くようになります。

さらに病状が進むと、これらの症状がしだいに激しくなるとともに、
「食欲不振」「貧血」「食べ物のつかえ」「胃にしこりができる」などの症状が起こります。

末期に近づいてくると、「腹水や胸水がたまる」「骨に強い痛み」「持続的な胃の疼痛」などが現れます。

胃がんの診断

X線、CTによる検査。そして内視鏡検査で疑わしい部分の組織を取って顕微鏡による病理組織検査。胃がんであると分かったら、どのくらいの深さまで浸潤しているかを調べます。

浸潤については超音波内視鏡検査も用います。さらに補助検査として腫瘍マーカーはCEAなどを調べます。

1.X線検査

バリウムを飲んで検査します。もっとも一般的な方法で、比較的容易に胃の内部の状態を細かく観察することができます。受診者は撮影台の上でいろいろな向きに寝そべり、さまざまな角度から胃をX線で撮影します。

2.CT検査

体を輪切りにするように周囲からX線を照射し、体内の様子を2次元ないし3次元画像としてモニター上で確認します。近年ではCTの性能が向上し、直径1センチメートル以下の初期がんの病巣もほぼ発見できるようになっています。

3.内視鏡検査

内視鏡(胃カメラ)を口から胃まで挿入して、胃の内部を直接観察します。必要に応じて胃がんが疑われる部位の一部の組織を採取して、がんの有無を調べます。

4.超音波内視鏡検査

超音波内視鏡は、内視鏡の先端に超音波振動子を取り付けたもの。消化管の中の腫瘍がどれくらいの深さまで及んでいるかを正確に診断するために行う検査で、内視鏡では得られない情報を得ることができます。

胃がんの病期(ステージ)

0期がんが粘膜内にとどまっている。原則的に転移はありません。
I期がんが胃壁の外まで達していない(漿膜(しょうまく)にがんが浸潤していない)
II期がんが胃壁の外まで達している(漿膜にがんが浸潤している)
III期がんが胃壁を突き破り周囲の臓器(すい臓など)にも浸潤している。
IV期がんが進行して他の臓器にまで転移している状態。完全に治すことは難しい。

胃がんの原因

0期

大きさと場所によるが、基本的には内視鏡手術(EMR)か腹腔鏡を用いた縮小手術が可能です。
しかし運が悪いと、本当の早期がんで発見されたにもかかわらず、標準的な手術になることもあります。

運には、かかった病院の設備や医者の技術も入っているので注意が必要です。治療の選択の際は、セカンドオピニオンも考える必要があります

Ia期

がんの形態と大きさにもよりますが、内視鏡手術か腹腔鏡手術、それ以外はリンパ節郭清(かくせい)を伴う外科手術が一般的です。

Ib期・Ⅱ期・Ⅲ期

基本的には開腹手術をすすめる施設が一般的です。
術後前後に放射線治療をおこなうケースもあります。手術可能な場合は抗がん剤や放射線治療。
Ⅲ期の手術適応はもっと厳格にすべきで、とくにリンパ節転移で病気が進んでいると考えられている場合に手術をすすめられたら要注意です。

Ⅳ期

大きさと場所によるが、基本的には内視鏡手術(EMR)か腹腔鏡を用いた縮小手術が可能です。
しかし運が悪いと、本当の早期がんで発見されたにもかかわらず、標準的な手術になることもあります。

可能な場合は手術の場合もありますが、疼痛コントロールや腹水処理、高カロリー輸血等の対症療法がおこなわれるケースが多いです。

胃がんに対する抗がん剤治療の目的

医師が胃がんに対して、抗がん剤を使用する目的は主に2つです。

1つは補助療法として抗がん剤を用います。 手術や放射線による治療前・治療中・治療後に、その効果をより高めるための療法です。

手術では胃がんが目視できる範囲と、その周囲のリンパ節などを含めて切り取ります。 しかし、目視できないレベルの微細ながん細胞が、どこかに残ってしまう可能性は否めません。これらの微細ながん細胞を死滅させて再発・転移させないために、抗がん剤治療が用いられます。

2つめは手術などで切除が困難な進行がん・転移してしまったがんなどに対して、進行を遅らせるために行う場合です。根治が難しい胃がんの進行を抑制による延命や、がんで悪化する可能性のあるQOL(生活の質)を改善する目的で使用されます。

どのような抗がん剤を使用するかは、患者さんの状況やがんの進行度や種類などによってもさまざまです。

胃がんに使用される抗がん剤の種類

胃がんの治療に利用される抗がん剤には非常に多くの種類があります。
代表的な抗がん剤は以下の通りです。

・フルオロウラシル(5-FU)
・イリノテカン(CPT-11)
・パクリタキセル(PTX)
・シスプラチン(CDDP)
・ドセタキセル(TXT)
・デカフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合(TS-1)
・TS-1

以上の薬品を単体や複合して、胃がんの抗がん剤として患者に投与していきます。

この中でも術後に服用する抗がん剤として、主流なのがデカフール・キメラシル・オテラシルカリウム配合(TS-1)です。TS-1が登場する前までは、主にフルオロウラシルが使われていました。

TS-1単体でも手術後の生存期間の延長に効果が認められていますが、より効果を高めるために推奨されているのはTS-1とシスプラチンの併用です。進行がんや切除不能ながんを縮小させる効果が高く、生存期間の延長も期待できます。

ただし、TS-1はカプセル剤で口から摂取するタイプの抗がん剤なので、経口困難の場合は使用できません。またシスプラチンも腎臓に大きな負担を与えてしまうため、腎機能が低下している患者には使えないという欠点があります。

胃がんの抗がん剤治療による副作用

これから抗がん剤治療を始める方にとって、最も不安を感じるのが服用により生じる副作用だと思います。胃がんに対する化学療法で伴う主な副作用は、以下のような症状です。

白血球・赤血球・血小板の減少

胃がんの抗がん剤治療は多くの現場で活用されていますが、研究の報告では副作用によって死亡する確率は2%程度です。
胃がん治療で用いられる抗がん剤を服用すると、血液を精製する細胞にダメージを与えるため、白血球や赤血球、血小板などが減少する副作用が頻繁に発症します。白血球が減少すると、外部からの細菌に対する抵抗力が弱まって肺炎などの感染症を引き起こすリスクが高くなるのです。白血球の減少が起こった場合は、G-CFS(顆粒球コロニー刺激因子)を使用して対策をするケースもあります。

赤血球が減少することによる代表的な症状は、貧血です。 また赤血球の減少に伴って血小板も減少すると、出血をしやすくなったり、あざなどが消えにくくなります。

上記のような目に見えない副作用は「骨髄毒性」と呼ばれ、場合によっては死亡する可能性もある危険な症状です。そのため、胃がんに対する抗がん剤治療を行っている期間は骨髄毒性が命に危険を及ぼさないレベルかどうかを、注意深くチェックしなくてはなりません。

悪心・吐き気・便秘・下痢・嘔吐・食欲不振

胃がんの抗がん剤治療で伴う副作用には、骨髄毒性以外にも頭痛・吐き気・嘔吐・下痢・便秘・食欲不振などが挙げられます。抗がん剤を服用した患者全員が全ての症状を発症するわけではありませんが、上記のいずれかを訴える可能性は高いです。これは、どの抗がん剤を服用するかによっても異なります。

脱毛

胃がん治療で服用する抗がん剤の種類次第では、脱毛を引き起こす可能性があります。これはあくまで抗がん剤の副作用によるものなので、抗がん剤治療が完了すれば自然と回復するものです。

その他

胃がんの治療で生じる可能性があるその他の副作用には、以下の症状が挙げられます。

・動悸
・爪や皮膚の変色
・息切れ
・筋肉や関節の痛み
・手や足の痛み(手足症候群)
・口内炎
・倦怠感やだるさ
・味覚障害
・肝機能障害
・腎機能障害

など。
これらの症状はいずれも胃がん治療の抗がん剤による副作用なので、抗がん剤治療が完了すれば比較的早期に回復するケースが多いです。ただし、長期にわたって服用していた場合は治療完了後も副作用の症状が残ってしまう可能性は否めません。

監修:孫 苓献(広州中医薬大学中医学(漢方医学)博士・アメリカ自然医学会(ANMA)自然医学医師・台湾大学萬華医院統合医療センター顧問医師)