限局した場所にできているがんの病巣を切除するのが手術です。がんの病巣の近くに転移した、あるいは転移を疑われる組織やリンパ節があれば一緒に切除します。がんの細胞を取り残すことがないよう少し広い範囲を含めて切除するのが一般的です。早期のがんや、ある程度進行していても切除による治療効果が期待できると考える場合には積極的に手術を行います。例えば、早期の胃がんで転移がない場合などの手術による5年生存率は98%と非常によい治療成績を挙げています。
手術でがんを切除することのメリットは、根本的な病巣であるがんを除去できることにあります。転移がない場合の完治率が高いことが積極的に行う理由です。デメリットとしてはメスをいれることで傷ができること、体力への影響、手術した部位によっては身体の機能が一部失われるということがあげられます。最近まで手術の方法は開胸、開腹を行いがんの病巣を切除することが一般的でしたが、医療機器、技術の向上により、できるだけ最小限の傷で手術を行う「内視鏡手術」が行われるようになっています。また切除範囲を小さくする縮小手術などもあります。
可能な限りのがん組織を切除することができる手術ですが、目に見えない細胞レベルのがんや、血液、リンパ液とともに広がってしまい、手術後しばらくしてから発見されることも少なくありません。これは進行がんとして、がんの悪性度と関連があります。このような場合、手術だけでの完治は難しく、抗がん剤治療や放射線治療などの補助的治療を合わせて行う必要があります。手術療法だけでなく、抗がん剤、放射線などの治療を組み合わせて行うことを「集学的治療」といいます。最近では手術と組み合わせて行う術中照射や予防的治療などがありほとんどの部位のがんで行われている治療です。
がん治療のための手術には、手術の目的によって様々なものがあります。ここではがん治療における目的別の手術の種類について紹介します。
がん細胞を切除し、残っている組織、臓器、器官の部分の機能を残すことができれば一番よいのですが、再発や転移の可能性を考えた場合、やはり広範囲に切除を行うという方法を選ぶことも少なくありません。切り取る範囲によって3つの方法があります。
がんの種類や内容によって手術の方法を使い分けます。ここでは代表的な5つの手術方法についてご説明いたします。
手術でがんの治療を行った場合、治療費はどのくらい必要なのでしょうか?がんになった部位とその周囲を切開して取り除くという治療のため、早期で発見されることで切開の範囲や手術切除の範囲が小さくなるため、発見された時期も手術の費用に関係します。
一般的な開腹手術の場合、手術で切除するにあたって麻酔(全身麻酔、部分麻酔)をかけます。また切開を行わない内視鏡手術などの場合は部分麻酔のみで行われることもあります。行った手術の種類によって入院費も変わります。
例えば、内視鏡で胃の粘膜のがん切除の場合には30万円程度の費用がかかりますが、開腹で胃を切除した場合には130万円程度必要となることがあります。高額医療やがん保険などで一部補助を受けることができます。高額医療は必要とされる治療費、手術費と、自己負担上限額とを照らし合わせ支払い金額や払い戻しの金額が決定されます。手続きは加入している保険によって異なります。国民健康保険の場合は市町村によって違うので窓口で確認してみると良いでしょう。
がんの治療を受ける上で関係してくるのが「がん保険」です。加入している保険によってその補助制度は様々です。注意したいのは「医療保険」と「がん保険」の違い、そして「がん保険」の手術の適応の種類です。医療保険はがんを含む疾患に対して支払われるもので、ほとんどの保険では入院給付期間の上限が設定されていることです。対してがん保険は入院期間上限がありません。また、診断給付金の有無や通院給付金の有無など保険によって異なります。
近年よく聞く保険のトラブルに「がん保険で適応にならない手術」への支払いがあります。がん保険の多くはがんと診断されたときに診断給付金として一時金が支払われます。その後、入院や治療に対して支払が行われるのが一般的です。その中で、一部の手術治療については支払の対象外になります。内視鏡手術の一部は「自由診療」といって保険の支払い対象外になります。がんのできている部位によっては「手術」として扱われないものがあります。保険の手続きを行う場合にはそれらのことを注意して確認する必要があります。保険の適応外になった場合でも高額医療は申請することができます。
がんと診断されたら「悪い部分は切除してもらいたい」と思う人は多いでしょうが、実際にはさまざまな理由から手術ができない人もいます。ここでは手術ができる人、できない人についてご説明します。
手術できる=手術適応といいます。手術の適応は大きく3つの観点から考えられます。
早期の胃がんなどは(1)の代表例で5年生存率は98%と、とても高くなっています。
手術できない=手術不適応といます。手術不適応がそのまま治療不可能ということになるわけではありませんが、ショックを受ける患者さんが多いのは事実です。手術できない理由は大きく2つあります。
がんの場合、手術できないからといって治療法がないわけではありません。患者さんにとって何が一番かを考えながら少しでも延命につながる方法、QOLを維持できる治療法を考えて医師と相談した上で決定することが大切です。
近年「がん放置療法」という言葉を見かけることが増えるようになりました。いろいろな悩みを抱えている患者にとって「がんを放置する」という選択は興味を惹くものです。がんの死亡率は年々増えているといわれていますが、高齢化社会が進むにつれて様々な病気の発見率が上がり、発症率や罹患率が上がるのは当然のこと。その中で必ずしも手術などの治療を行う必要はないという考え方です。
年齢に伴う死亡率の上昇などの条件を計算したうえで出される死亡率の中に「全がんの年齢調整死亡率」というデータがあります。そこでは、がんによる死亡率は減少しているとされています。これは早期発見により適切な治療を受けることができているからだというのがその根拠です。もちろん、対人口で考えた場合、人口数が増えているので数字的には増加しているということは否めません。
「全がんの年齢調整死亡率」が低下しているものには子宮頸がんと大腸がんがあり、検診と早期の手術による効果だと考えています。一方で、浸潤性乳がんや、前立腺がんの一部では、治療しないことによる進行や寿命には差がない症例もあるとされています。これらのがんについては手術をはじめとした治療効果には一定の範囲があり、予後へ与える影響が少ないものがあることもあり、治療をしたからといって著しく死に影響をしないと考えられている部分もあります。
進行しない「がんもどき(異分化細胞の腫瘍)」であれば治療をする必要はなく、どんな治療をしても効果がなく寿命を短くする可能性があるのであれば治療をせずに放置するのもひとつの方法ということのようです。実際には「がんもどき」という状態は存在しません。手術していれば、治療していれば完治する可能性が高かった「がん」を放置するということはおすすめしません。ただ、治療によって身体への負担は少なからず生じるので、状態に応じて考えるということは必要かもしれません。
手術を行うときに全身に行う検査として転移がないかどうかを詳細に調べます。その上で手術を行いますが、1cm未満の極小の転移については100%の確率で見つかるとは限りません。そのため結果的にがんを取り残してしまうことがあります。また、開腹手術や開胸手術の場合には手術創が大きくなることもあり身体への侵襲、負担が大きくなります。その他にも手術する部位によって様々な問題点があります。代表的な部位別に問題点を見ていきましょう。
乳がんの場合、がんができている部位、がんを切除する範囲によって温存治療か全摘かというポイントがあります。全摘の場合は、乳房や胸筋肉、周辺のリンパ節などを切除するため、手術後の傷の大きさがトラウマになる人もいます。また、広範囲を切除するため腕の動きが悪くなったり、浮腫(むくみ)が出やすかったりという症状があります。
手術の切開時の合併症として、周囲の組織や神経を傷つける可能性があります。尿路損傷、腸管損傷などによる排泄障害、性交障害、肝炎やイレウスなどといった手術後の合併症などが起こる可能性があります。
胃がんの場合は切除した範囲、大きさによって手術後の経過が異なります。特に胃の大部分を切除する場合や、全摘を行った場合などは食生活が大きく変わるため注意が必要です。消化のよいものはもちろんですが、一回の摂取量などにも注意が必要です。胃の切除後に現れる症状にダンピング症候群があります。冷や汗や動悸、腹部症状など程度は様々です。食事に気を付ける事で改善できる症状もあります。
手術した創部の感染は、手術の方法、創部の大きさに関わらず起こりうるリスクがあります。創部の消毒などの衛生管理には細心の注意を払いますが、やはり100%回避することは難しい合併症のひとつです。近年は糖尿病などの持病を持っている方も増えており、その場合、感染症にかかりやすい状態であるということも理由のひとつに挙がります。
また、全身麻酔で手術を行った場合に起こる症状として多いのが、肺炎などの呼吸器の合併症です。特に高齢者に多くみられます。手術後は創部の痛みなどから「咳をする」「痰を出す」「深呼吸をする」といった、通常は問題なくできる動作を十分に行うことができません。結果的に痰などが蓄積、十分な酸素を取り入れることができないということになり、気管支炎や肺炎といった合併症が誘発されることとなります。
監修:孫 苓献
広州中医薬大学中医学(漢方医学)博士・アメリカ自然医学会(ANMA)自然医学医師・台湾大学萬華医院統合医療センター顧問医師
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