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はり灸療法

はり灸の治療原理は、漢方や気功と同じように、身体の乱れた秩序を回復するというものです。実験的につくられたネズミの肺がんがハリ・灸によって縮小し、同時にマクロファージの機能が増強されたという報告例があります。はり灸で病気の治療を行う場合、そのメカニズムは、「はりや灸の、ツボへの刺激によって、”経絡”を流れる気血の運行が円滑になり、各器官のアンバランスも調整され、免疫力も充実することで病が治る」というものと考えられています。

経絡”とは、体全体に張り巡らされたネットワークで、体表と内臓をつないでいます。例えるなら鉄道の線路のようなもので、線路上にある駅に相当するのがツボということになります。駅に人の出入りがあるように、ツボには情報の出入りがあります。ツボから入る情報は、はりや灸、あるいは指圧等で刺激を送り込むことで、ツボから出る情報とは、過敏になったり痛みが出たり、押すと心地よいという反応です。

“気血”の”気”とは生命エネルギーのことで、”血”とは血液のことです。中国伝統医学の生理観では、気と血が一セットで体を循環していると考えています。がん患者さんに対するはり灸では、免疫力をアップするための方法と、いろいろ起こってくる症状に対してケアする方法の二通りが必要になります。

はり灸治療の目的は、がん患者さんの疼痛や息切れ等の症状を緩和すること、治療による精神的苦痛の軽減、QOL(生活の質)の向上、抗がん剤治療に伴う嘔吐や吐き気等の副作用の緩和などがメインとなっています。現在のところ、単独での治療効果を期待するのではなく、患者さんの痛み、発熱、便秘、尿閉、しびれなどの症状の軽減を目的として用いられていることが多いです。つまり、がん治療に関して言えば、がんを縮小させたり、がん細胞を死滅させたりするような効果はありません。あくまでも、標準治療の補完として施術するという考え方です。

はり灸によって適度なストレスを身体に与えることで身体機能を活性化し、抵抗力を高めます。さらに身体の恒常性維持機能を利用して、体の歪みを正し、自然治癒力を高めます。はり灸の刺激により、免疫細胞が活性化されることで、生体防御能が高まり、がんに対する抵抗力がつけることができます。

監修:孫 苓献

広州中医薬大学中医学(漢方医学)博士・アメリカ自然医学会(ANMA)自然医学医師・台湾大学萬華医院統合医療センター顧問医師