心理療法
イメージが人体におよぼす影響についての科学的な研究は昔からさかんに行われてきました。米アリゾナ大学の心理学者ゲーリー・シュワルツ博士らは、悲嘆、怒り、恐怖といった、一連の否定的なイメージが心の中に喚起されると、心臓血管系が緊張方向に変化したと報告しています。イメージというものは、その人の行動や態度、体の変化と密接に関わっているのです。ここではいくつかのイメージ法について紹介します。
サイモントンのイメージ療法
- 静かなところで座るか、寝ます。
- 深く呼吸をしながら、ゆっくりと目を瞑ります。
- 強い力を持ったリンパ球が、動きが鈍く壊れそうながん細胞を攻撃します。
- やがてがんは体から逃げていきます。
- もう一度体をさぐり、がん細胞が出ていったところを想像します。
- ストレッチをして、気持ちよく目覚めます。
サイモントンのイメージ療法は、がん患者を対象にアメリカで編み出された、体の内部をイメージするための方法です。がん細胞やリンパ球を頭の中でイメージします。この時、がん細胞やリンパ球は医学的なものとしてイメージしても、象徴的なイメージ(たとえば、がん細胞を岩の塊、リンパ球をそれを砕くトンカチといったような)でも構いません
現在の自分の健康状態にかかわらず、「すでに病気が治ったところ」「がん細胞が体から出ていったところ」という「こうありたい」という自分が理想とするようなイメージを描きます。毎日二、三回そうしたイメージを描くようにしてください。
セルフヒーリングのイメージ法
- 静かなところで座るか、仰向けに寝ます。
- 目を閉じて、美しい風景のなかにいる自分の姿をイメージします。
- その風景のなかで光に包まれて、健やかな呼吸をしている自分の姿を、もうひとりの自分が見ているような感覚を味わいます。
- 酸素や栄養素、エネルギーを十分に吸い込んで、余分なものを吐き出します。
- 体の弱ったところにそのエネルギーが入っていき、細胞のひとつひとつまで活力溢れるさまをイメージします。
- がんが治って、「心からしたいことをして心が満たされている自分」を想像します。
- ストレッチして、気持ちよく目覚めます。
痛みのコントロールイメージ
- 楽な姿勢で座るか、寝るかして、軽く目を瞑ります。
- 痛みの色や形、大きさをイメージします。
- そこに意識を集中しながら、吐く息とともに痛みが徐々に体の中から外へ出ていくところをイメージします。
- もう一度、痛みのあったところがあたたかくほぐれた感じをイメージして目を開けます。
感覚を解放するものに触れる
- 心落ち着く好きな香り近くに置く(アロマテラピーのような香りから懐かしく心地のいい香りまで)
- 環境音楽、チルアウト、リラクゼーション音楽など、ゆったりとした好みの音楽を聴く。
- いちばん長くいる部屋を居心地が良く快適なものにする。
- 何かひとつ体が喜ぶようなもの(気功・ヨガ・散歩・無理なくできる好きなスポーツ)を実践する。
- 自分を必要としたり、愛する人や動物、植物とのふれあいの機会をつくる。
監修:孫 苓献
広州中医薬大学中医学(漢方医学)博士・アメリカ自然医学会(ANMA)自然医学医師・台湾大学萬華医院統合医療センター顧問医師