運動 | がん治療 適度な運動で免疫力アップ 有酸素運動・ストレッチ
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適度な運動で免疫力アップ

免疫力を高める方法の一つとして適度な運動があります。身体を動かすことで血液の流れが良くなり、免疫細胞であるリンパ球が活性するからです。

また、身体を動かすことはストレス解消につながります。人はストレスを感じると視床下部の副腎皮質からコルチゾールと呼ばれるストレスホルモンを分泌します。コルチゾールが増えるとリンパ球の正常な働きが抑制されて免疫力の低下を招いてしまいます。

軽度の筋肉トレーニングも免疫アップに良いと言われています。筋肉は体内で熱を生産する機能があるため、筋肉量の増加に伴い体温が高くなるのです。体温が一度上昇すると免疫力は5倍も上がるといわれています。

運動は毎日する必要はありません。あくまで無理のない範囲で実施することが大切です。運動自体がストレスとなってしまっては意味がありません。

免疫力アップが期待できる運動 ~有酸素運動~

有酸素運動は免疫力を高めるのに最適な運動だと言われています。有酸素運動とは、酸素を消費し、十分な呼吸を確保しながら出来る運動のことで、ウォーキングやジョギング、サイクリングなどがあります。

呼吸をしながら運動を行うため、体内にくまなく新鮮な空気を送り込むことができます。そのことで免疫細胞が活性するのです。また、有酸素運動は免疫機能を司るNK細胞の働きを活発にするということも知られています。

免疫力アップが期待できる運動 ~ヨガ~

免疫力アップが期待できる運動の一つとしてヨガが挙げられます。ヨガには様々な呼吸方がありますが、最も基本となるのが腹式呼吸です。腹式呼吸をすることでセロトニンという神経伝達物質が脳内に分泌されます。

セロトニンには自律神経のバランスを調整する働きがあり、免疫機能を司る副交感神経の活性につながるのです。また、腹式呼吸をすることで腹部のリンパの流れが良くなり、リンパ液に含まれる免疫細胞が効率よく体内を巡ることで免疫力がアップするのです。

ヨガのポーズには初心者でも比較的簡単に出来るものもありますので気軽に初めてみてはいかがでしょうか?

免疫力アップが期待できる運動 ~ストレッチ~

ストレッチを行うことでも免疫力アップが期待できます。ストレッチは運動の前の準備運動という側面がありますが、ストレッチをすることで固まっている筋肉がほぐれ血管の拡張が促されます。すると血流が良くなり、血中に存在する免疫細胞が体内をくまなく駆け巡り、免疫力がアップするのです。

ストレッチをしながら深呼吸をするとより効果的です。深呼吸にはリラックス効果があるからです。心身ともに不要な力が抜けてリラックスした状態になると、免疫機能を調整する働きのある副交感神経が優位になるからです。

また深呼吸をすることで、その信号が自律神経に直接働き、やはり副交感神経が優位になります。ストレッチはいつでもどこでも無理なくできる運動ですので、習慣として日常に取り込みやすいのではないでしょうか?

免疫力アップが期待できる運動 ~太極拳~

太極拳は中国に古くから伝わる武術の一種ですが、近年では健康法の一つとして日本でもブームをよんでいます。

太極拳は体力のない人や高齢者、病気の療養中の人でも無理なく取り組むことが出来る運動で、病院でのリハビリメニューに取り入れられることもあるようです。太極拳の最大の特徴は非常にゆっくりとした動きにあります。

通常、運動をすると交感神経が優位になるのですが、太極拳のようにゆっくりとした動きの運動は副交感神経を優位にして免疫力を高める効果があるのです。

病気などの影響で立って行うのが難しいという人は、椅子に座って行うことも出来ます。また、太極拳はゆったりとした動きではありますが、インナーマッスルを鍛えるのに最適な運動でもあるのです。

激しい運動をすると免疫力は低下する

運動が免疫力アップにつながるとは言っても、極端に激しい運動をするのは逆効果です。免疫力が低下してしまい、感染症などを引き起こす原因となってしまう場合もあります。

事実、普段から激しいトレーニングしているアスリートは、一般の人よりも風邪などの感染症にかかりやすいと言われています。免疫細胞の一つであるNK細胞はストレスを感じると働きが弱まってしまうということがわかっています。

激しい運動はNK細胞にとって強いストレスとなります。翌日まで疲れが残るような激しい運動は避けて、軽く息が上がる程度の運動をするように心がけましょう。

また、筋肉痛になるような激しい筋肉トレーニングも免疫力の低下を招きます。激しい筋肉トレーニングをすると、小腸に作用して免疫力を高める栄養素であるグルタミンが著しく消費されてしまうからです。

筋肉トレーニングに伴う筋線維の損傷を修復する際に、免疫機能を司る白血球が大量に使用されるため免疫力の低下を招いてしまいます。このような事態を避けるためにも適度な運動を心がける必要があるといえるでしょう。

監修:孫 苓献

広州中医薬大学中医学(漢方医学)博士・アメリカ自然医学会(ANMA)自然医学医師・台湾大学萬華医院統合医療センター顧問医師