爪もみ | がん治療 手の爪の生え際をもむ健康法と免疫力
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爪もみで免疫力を高める

がんの治療法としては、抗がん剤の投与や免疫療法、放射線治療など複数ありますが、いずれの手段をとるにしても、免疫力を高めるということがとても重要になってきます。

なぜなら、私たちの身体は、がんに侵されると免疫機能が正常に働かなくなってしまうからです。免疫力が低下すると感染症などにもかかりやすくなり、がん治療に悪影響をもたらすことも多々あります。そのため、がん治療と同時進行で免疫力を高めていくことが求められるのです。

免疫力を高める方法は多々ありますが、患者に負担をかけず手軽に実施できる方法として爪もみがあります。爪もみとは文字通り手の爪の生え際をもむ健康法ですが、誰にでも簡単に、すぐ始めることが出来ます。

爪もみの効果

学生を対象に4週間爪もみをしてもらい、その後に採血をして検査をしたところ、爪もみを始める前と比較するとリンパ球の数が大幅に増加したというデータがあるようです。

リンパ球は免疫機能を司る血液細胞で、血管やリンパ管を通じて全身をめぐり病原菌やウイルスを攻撃・破壊する働きがあります。リンパ球の数が減少すると免疫力が低下し、感染症などにかかるリスクが高まります。

リンパ球が減少する原因として、自律神経の一つである交感神経が過度に働いてしまうということが挙げられます。爪もみをすることで、交感神経の働きを沈めて、免疫機能を調整する働きのある副交感神経を活性化させることができるのです。

なぜ爪もみで免疫力が高まるのか?

昔から手は第二の脳と呼ばれていています。手先をこまめに動かすと脳に良いという話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?爪の生え際には多数の神経線維があります。

指先は他の身体の部位と比較して刺激に対する知覚が敏感であるのはこのためです。爪もみをして指先に強い刺激を与えることで、副交感神経が優位になるのです。

また、爪もみをすることで血流が良くなります。心臓から送り出された血液は動脈を通じて酸素を運びながら全身をめぐり、指先の毛細血管にまで届くと、静脈を通り再び心臓へと戻ります。

つまり指先は血液循環の折り返し地点という重要な場所なのです。爪もみを行うことで血流が良くなると、血液中に存在する免疫細胞の一つであるリンパ球が広く全身にいきわたり、免疫力が高まります。

また、血流が良くなることで冷え性が改善され体温が上昇します。人は平熱が高いほど免疫力が高くなり、ウイルスや病原菌を寄せ付けなくなります。

正しい爪もみのやり方について

爪もみは免疫力を高める方法としてとても有効なものですが、正しい方法でやらなければ効果は半減してしまいます。各指の爪の角を反対の手の親指と人差し指でつまんで、強く押しながらもみます。

その時、少し痛いと感じるくらい強い力でもむことが大切です。力が弱いと刺激が脳に伝わらず効果が得られません。だからといって腫れたり、アザになったりするほどの強い力でやるのもよくありません。肩や腰のツボを刺激することをイメージすると良いでしょう。

爪もみとは言いますが、指の側面を押すことをイメージしてください。指の第一関節を二本の指で挟み、少しずつ爪の方に滑らせていくと爪の付け根の側面あたりにへこみがあるのがわかるでしょう。その部分に刺激を与えてください。どの指の爪からもんでいくなどの決まりはありませんので、自分のやりやすい順番で行って大丈夫です。

一本の指につき、もむ時間は10秒程度で十分です。10秒間ぎゅーっと強く押し込むかたちでも良いですし、ぎゅっぎゅっと連続した刺激を与えるのでも大丈夫です。

出来れば一日2~3回行ってください。回数を多くしたからといってより効果を得られるというものではありませんので、やり過ぎには気を付けましょう。

爪もみをするにあたっての注意事項

手軽に免疫力を高められる爪もみですが、いつくかの注意点があります。まず、薬指は交感神経を刺激す指です。薬指の爪もみをすると逆に免疫力が低下してしまう可能性がありますので避けたほうが良いでしょう。学生を対象にした実験で、薬指だけ爪もみをした結果、リンパ球数が減ったというデータもあるようです。

また、爪もみを始めて少しすると痛みが出てしまう場合がありますが、これは爪もみの効果が出始める頃に出てくる症状です。一時的なものですので、痛みを気にして爪もみをやめてしまわないでください。

各指にそれぞれ異なる臓器の働きを活性化する作用があります。人指し指は消化器、中指は聴覚、小指は循環器、親指は呼吸器です。調子が悪いなど気になる症状を抱えている臓器に対応する指は20秒刺激しましょう。

早い人では数日で効果が出ますが、通常は一ヶ月ほどで効果がみられると言われています。手軽で簡単な方法だからこそ根気強く続けることが大切だといえるでしょう。

監修:孫 苓献

広州中医薬大学中医学(漢方医学)博士・アメリカ自然医学会(ANMA)自然医学医師・台湾大学萬華医院統合医療センター顧問医師