がん患者さんにとって栄養管理は重要 ―何を、どのように食べればよいのか―

十分な栄養を取ることは、治療を続けるための体力や身体の回復を支える大切な要素です。食べられるものを、食べられるときに、無理なく取り入れましょう。
健康的な食事は、身体を良好な状態に保つために欠かせません。特に、がんの治療中は、十分な栄養を取ることが大切です。
適切な食事を続けることで、次のような効果が期待できます。
- 治療を継続するための体力を保つ
- 筋肉や身体の組織が減るのを防ぐ
- 傷ついた組織の回復を助ける
- 感染症に対する抵抗力を保つ
- 治療による副作用に耐えやすくなる
十分なエネルギーとたんぱく質を取れている患者さんは、治療をより受けやすくなる場合があります。治療中は味覚や好みが変化することもあるため、以前は苦手だった食品でも、無理のない範囲で試してみましょう。
1.治療中の食事の基本
主食は種類を豊富にする
主食には、できるだけ精製・加工の少ない穀物を取り入れます。
例:米、全粒粉、オート麦、トウモロコシ、黒米・紫米、雑穀類
豆類を混ぜたご飯などは、炭水化物だけでなく、たんぱく質も一緒に取ることができます。砂糖を多く使った食品は、できるだけ控えめにします。
野菜や果物を取る
原文では、野菜は1日500グラム以上、果物は1日300グラム以上が目安として挙げられています。
- 野菜:白菜、小松菜、チンゲンサイ、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、大根、ニンジン、シイタケ、キノコ類など
- 果物:リンゴ、梨、キウイフルーツ、オレンジ、イチゴ、ブルーベリー、ブラックベリーなど
野菜や果物には、ビタミンC・Eのほか、カロテノイド、アントシアニン、フラボノイド、ルテイン、リコピンなど、抗酸化作用を持つ成分が含まれています。
油の種類にも注意する
原文では、魚や種子類などに含まれる不飽和脂肪酸を取ることが勧められています。
- 亜麻仁、ゴマ、ヒマワリの種、カボチャの種
- オリーブオイル
- サケ、イワシ、マグロなどの魚
種子類は砕いて、おかゆや豆乳などに加える方法もあります。一方、肉の脂身などに多い飽和脂肪酸は取り過ぎないようにし、塩漬け・燻製食品、揚げ物、焼き物、漬物類も控えめにします。
治療中に多少体重が変化することはありますが、体重が減り続けている場合は、医師や管理栄養士に相談してください。
2.治療中は必要に応じて間食する
なぜ間食が必要なのか
がんの治療中は、体重や体力を維持し、身体の回復を助けるために、普段より多くのエネルギーとたんぱく質が必要になることがあります。体重が減っている場合は、間食を取り入れることで不足する栄養を補いやすくなります。
治療中は、食欲低下などにより、普段なら選ばない高カロリー食品に頼ることもあります。ただし、これは一時的な対応です。副作用が落ち着いたら、通常のバランスのよい食事に戻していきます。
間食の取り方
- 食べられるときに、少量ずつ食べる
- たんぱく質を含む食品を用意しておく
- 下痢がある場合は、生の野菜や果物を避ける
- 口が乾燥している場合は、硬くて乾いた食品を避ける
- 通常の食事だけで体重を維持できている場合は、無理に間食しなくてもよい
3.エネルギーとたんぱく質を増やす工夫
- 3食だけでなく、少量の間食を何度か取る
- 食べられるもの、好きなものを優先する
- 空腹になるまで待たず、時間を決めて少しずつ食べる
- 最も食欲がある時間帯に、一番多く食べる
- 食事や間食に、高エネルギー・高たんぱくの食品を加える
- 体調がよければ、食事前に軽く歩いて食欲を促す
- 栄養補助飲料などを利用する
- 飲み物は食事中よりも、食事と食事の間に取る
エネルギーを増やす組み合わせ例
- 牛乳+ココア/牛乳+米粉/牛乳+小豆あん
- おかゆ+ひき肉/おかゆ+卵/おかゆ+栄養補助食品
- パン+ジャム/パン+バター
- マッシュポテト+マヨネーズやドレッシング
- 野菜のクリームスープ
- 砕いたナッツを麺類や料理に加える
一度にたくさん食べられない場合は、少ない量でもエネルギーとたんぱく質を取れるように工夫します。
4.体調に合わせて身体を動かす
適度な運動には、筋肉や体力の維持、骨の健康、気分の落ち込みやストレスの軽減、だるさ・吐き気・便秘の緩和、食欲の促進などが期待できます。
運動を始める場合は、必ず医師に相談し、体調に合わせて行います。最初は1日5~10分程度の散歩などから始め、無理のない範囲で少しずつ時間を延ばします。疲れを感じたら、すぐに休んでください。治療中は、無理をして運動する時期ではありません。
※本記事は、北京振国医院が2016年6月29日に掲載した記事「王振国:腫瘍患者の栄養治療を軽視してはならない―何を、どう食べるか?」(原文はこちら)を参考に翻訳・編集したものです。食事量や運動量が、すべての患者さんに適するとは限りません。特に治療中の生卵・生もの、サプリメント、魚油などは、感染や薬との相互作用に注意が必要です。実際の食事については、担当医や管理栄養士にご相談ください。版権所有 © 振国医療集団/記載の情報は参考用であり、診断および医療の根拠とすることはできません。受診の際は医師の指示に従ってください。
ご検討の第一歩として、ぜひご利用ください。
▼この記事の監修者
安斎 昭
- 一般社団法人 漢方ドットコム 代表
- 国際癌病康復協会 日本支部代表
- 医療ジャーナリスト
医療ジャーナリストとして20年以上活動し、がん治療と漢方医学に精通。王振国医師のがん撲滅活動に共感し、日本支部の立ち上げ時から参画してきた。現在は一般社団法人漢方ドットコムの代表として、がん経験者や漢方治療に関心のある人に向け、全国で勉強会・セミナーを開催し、中医学・漢方に関する情報をWEBなどで発信している。