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がん患者と家族の向き合い方。不安に寄り添って自分のものにする

家族ががんになり、これからどう付き合っていけばいいか分からない。お悩みは少なくありません。日本では2人に1人ががんと言われており、「がん=不治の病」と思う人も少なくありません。しかし、部位による違いはあれど、がんの5年生存率は6割ほどと言われ、がん治療も日々進歩しており、5年生存率も改善されています。本記事では、がんを患う身近な家族とどう接していけば良いかや「今、できること」について解説します。

1.家族・知人ががんの告知をされたとき

●こころの痛みを和らげる 

がんの告知を受けた際は、お互いにいたわることが必要です。がんと告知されるのは、その人にとって重要な出来事です。これは家族も同じようにショックを受け、その辛さは計り知れません。しかし、がんは進行しなければ痛くもかゆくもないものです。がん細胞に痛みや苦痛を引き起こす性質はありません。がんと告知されても正しい知識を身につければ、必要以上にがんを恐れなくても良いようになります。

2.家族ががんになったとき知っておきたいこと 

2-1.がんになった本人への接し方  

結論としては普段どおりに接して孤独にさせないことです。本人の症状にもよりますが、外に誘い出すことを心がけてみると良いです。がん患者さんの中には家族以外の人との付き合いを減らし、自宅で何をするでもない時間を過ごす人も多くいます。それは外出するのが億劫になっているからです。家族の役割は本人を外に誘い出しリフレッシュしてもらうことです。

2-2.本人のご家族の日々の過ごし方 

少しでも自分の時間を持ち、リラックスしたり適度に趣味を楽しむことも大切です。がん患者さんのご家族は第2の患者さんと呼ばれています。がん患者さん本人が苦しんでいる時に、自分だけ楽しい時間を持つのはいけないことだと思いがちです。しかし、家族が明るくなることは患者さん本人にとっては嬉しいものです。誰かとお話ししたり、少しお昼寝したり、気分転換になることをします。がん治療は長期にわたって考える問題です。がん患者さんの希望すべてに応えていくことは不可能です。エネルギーが無くなるまで、がんに悩むと家族自身の心が折れてしまいます。スポーツなどの趣味があればガス抜きとして楽しむのも大切です。そのほうが自身の心身の健康は維持できます。楽しめることは楽しむべきです。

2-3.本人にアドバイスしてはいけない 

本人へ安易にアドバイスするのは禁物です。家族ががんになったときインターネットや書籍で情報収集をするかと思います。しかし、「これが良い」と間違った価値観を押し付けるケースがあります。実はこの良かれと思ってしたことが、患者さん本人には苦痛を感じるのです。専門知識がない状態では、がん自体を治すことはできないのです。どうしてもその治療法について家族に試したいと思うのであれば、何時間もかけてその人とコミュニケーションを取ることです。安易な価値観を本人へ押しつけず、自身の知識を深めて、がん治療に向き合うことが大切です。がん治療は本人が納得いく選択と人間関係が重要です。

2-4.正しく情報を見極める 

繰り返しになりますが、がん治療の情報を正しく見極めます。インターネットの情報はすべて真実とは限りません。なぜなら、がん治療の研究では、背後に利害関係が存在するからです。資金を出した企業が利益を得ようとするため、結果として都合のいい内容だけの情報が世の中に流れてしまっているからです。
がんを告知された段階では精神が不安定になります。情報を取得するにも自分の信じたいことだけを集めてしまいます。一度、立ち止まり、本当の情報かどうかを正しく知るのも大切です。情報に触れる際には厚生労働省が発信している「情報を見極めるための10か条」を参考にして、正しい情報を取得することを勧めます。
厚生労働省の『統合医療』情報発信サイトの情報では見極め方を紹介しています。
https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/hint/index.html

2-5.がん相談センターで相談できること 

厚生労働省は、全国にがん診療連携拠点を整備し、地域がん診療病院を指定しています。
相談支援センターでは、看護師やソーシャルワーカー、心理療法士などが相談に乗ってくれます。がん患者さんやその家族であれば誰でも無料で利用できます(院外も、匿名も可)。高齢の親御さんには心配をかけれない、頼れる近親者がいない人にもお勧めします。
がんになった人、家族や友人など、がんに影響を受けるすべての人が安心して取り戻せるサポートもあります。メンタルケアで大事なのは、一人で悩みを抱えこまないためにも、最寄りのがん相談センターを利用することです。その他にも、「よく眠れない」「食欲がない」など心身の変化や不調を感じたときには、心療内科や​​精神腫瘍科の受診をお勧めします。

3.家族だからできる役割

3-1.患者との向き合い方は関係性 

がん患者さんとの日々の変化に応じたコミュニケーションを取ることです。がん患者さんは症状を認めなくない人も多く「不眠」や、やり場のない「怒り」に苛まれる日々が続きます。繰り返しになりますが、安易な言葉で、「頑張ろう」は使わないほうが無難です。夫婦間ですと、さまざまな部分ですれ違いが起きやすいです。目指す方向性や対話によるすれ違いで、関係性が壊れるのはもったいないことです。患者さんに歩み寄って、その都度の変化に応じたコミュニケーションを取り、孤独を解消することです。

3-2.言葉よりも行動する 

がん患者さんに「大丈夫?」を多様するのは禁物です。がん患者さんは大丈夫と聞かれたら大丈夫と答えます。これは心配をかけたくないからです。言葉よりも掃除をしたり、洗い物をしたり、重いものを持ってあげたりするとありがたいはずです。気分転換に買い物に誘うのもありがたいと思います。

4.患者さん本人ができること

4-1.趣味を始める 

家と職場とは別に趣味を始めるのもおすすめです。その際には、遠慮なく信頼できる友達を誘ってもいいと思います。傷病手当金などをもらい、仕事を休んで趣味に時間を割き、リフレッシュをして心をいたわるのも大切です。

4-2.たまには自分にご褒美 

頑張っている自分にご褒美を与えるのも大切です。新作のDVDを見たり、新しい本を読んだり、週末家族で出かけるのもいいです。家にひきこもってばかりだと辛くなるので、体を動かすために近所を散歩したりして体を癒すことも大事です。

4-3.ペットを飼う

家族に相談してペットを飼うこともお勧めします。理由としてはがん患者さんが動物に触れ合うことで、病気の治癒をサポートできるからです。これはアメリカではペットセラピーとして普及しており、がん患者さんの生活の質が高まると言われています。ペットを飼うメリットとして、気が紛れたり、がんを忘れストレス解消とともに癒しにつながるからです。しかし、ステロイドや免疫抑制剤を内服している患者さんは感染症のリスクもあるので、ペットを飼うことは止めておく必要があります。一度、家族や主治医と相談してからペットを飼うことをお勧めします。

4-4.サードプレイスを作る

リラックス時間を持てるサードプレイスを作るのも大切です。サードプレイスとは家と職場とは別に、心地よく通うことができる第3の場所です。趣味で始めたコミュニティでがんを患った人に出会え、お話を聞ける可能性もあります。自身が知らないがんについてのお金や仕事の話を聞けたりもします。遠慮なく、信頼できる憩いの場を作れるサードプレイスを持つことも大切です。

4-5.患者が家族のためにできること

本当にやりたいことを見つけることです。本人が家族のために、何かしたいと思うのであれば、それを徹底的に行なうことです。親孝行をしたいと思ったら、親孝行をきちんとします。あれをすればよかった、これをしておけばよかった、と言うのはたいてい、両親や家族に対するものです。看病してくれた家族のためにやりたいことをして生き続けることが大切です。

5.患者さんに寄り添う

5-1.患者さんの話をよく聞く 

患者さんの話をよく聞くことが大事になります。家族としてインターネットでがんの情報を集めたり、自分なりの価値観を押しつけてしまいがちです。しかし、集めた情報が正しくても、本人にとってやりたくないこともあります。そのため、家族として患者さんが自分なりに納得できるまで一通り話を聞き、安心感を与えることが重要です。同じ話をしたからといって、突き放すのではなく不安を共有し、答えがでなくても親身に向き合うことで、患者さんは安心感を得られます。

5-2.自尊心の低い患者さんの場合

がんを告知された人の自尊心は自ずと低いです。そのため、他人の行動や言葉の不一致に敏感になりがちです。どのような言葉を投げかけてあげるかが課題になります。議論を早めたり、がん患者さんの答えを急がせたりするのも禁物です。

がん患者さんは相手の機嫌が悪いと自分のせいなのかと勘違いをして、落ち込んでしまいます。日々、機嫌をよくすることは難しいですが、体調が不調の場合はがん患者さんに伝えることも大切です。議論を行う際は、「他の人はこれをやっている」のように、インターネットの人物や本を出版した人の意見を押し付けるのではなく、自分の意見を言うように心がけます。

5-3.がん患者さんへの過度なサポートは禁物 

がん患者への過度なサポートは重荷になりがちです。そのサポートが必要かどうか確かめるのも大切です。その人自身の成長に目を向ける。これは大きな心の支えにもなります。

繰り返しになりますが、家族には家族の役割、友人には友人の役割があります。

6.子供をサポートする

6-1.子供もサポート

がん患者さんの家族には子供も含まれます。がん患者本人やその家族は親として子供にどう接していくかの不安もあります。責任感の強い親御さんは、「失敗してはいけない」と自身を責めてしまう人が多いです。しかし、ひとりで抱え込む必要もないのです。まず子供さんには適切なタイミングで伝えることが大切です。繰り返しになりますが、治療薬が開発されて生活を続けながら、通院で治療を続けることが一般的になりました。がん治療を伝えずに通院するだけでは子供は心配になります。

子供が勘違いを起こしているかも知れないので正しい知識を教えることです。「風邪のように決して病気が人にうつる心配はない」「がんになったのは誰のせいでもない」不安や恐怖につながる誤解を招かないよう、なるべく正確な知識を伝えることです。不安や疑問が解消されると同時に、子供への愛情を言葉で伝えると、心の痛みも少しずつ緩和します。

6-2.学校でも「がん」を学んでいる 

文部科学省では、中学校の学習指導要領・保健分野にて「がんについて取り扱うものとする」と明記されました。中学生の子供さんはがんを理解しています。インターネットで検索すればすぐに出てきますので、子供さんには隠さずに丁寧な対話を心がけるようにし、「いのちの大切さ」「生きるチカラ」を一緒に学び育んでいくことが大切です。

7.友人からがんの告知を受けたときとがん患者本人へのできる役割

7-1.普段通りに接すること

最後に友人からがん告知された場合です。本人からがんの知らせを受けても、これまでどおり友人であり続けることです。告知をあなたにするのは心から信頼しているからです。

安易に大丈夫とは声をかけず、これまでどおりにお茶を誘い、たわいもない趣味の話、学校時代の楽しい思い出を語り合うと、患者本人の気分転換になります。がんが回復すればできるスポーツや一緒に温泉を計画すると、これからの楽しみも増えるはずです。

7-2.突然のキャンセルも気にしないこと 

本人が予定を直前でキャンセルする可能性もあるかと思います。それは嫌われたのではなく、本人の体調不良によるものです。その場合は、優しく対応してあげることが適切です。友人であるあなたは、本人が病を乗り越えるために支えてあげられる大切な存在です。

8.まとめ

がん治療の目標はできるだけ自分らしい生活の質を上げて長く生きることです。がんの治療法も日々進歩しています。やりたいことを見つけて、それをするのが人間の生き方です。本記事が「がん」という病気に対して「今、できること」を考えるきっかけになれば幸いです。