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がん生存率とは?最新がん統計もあわせて紹介します
がん生存率とは?

「がんの生存率ってどういうこと?」
「生存率はどんな風にとらえたらいいの?」
「がんの生存率を上げるためにはどうしたらいい…?」

一生涯のうち、約2人に1人はがんと診断されるといわれています。がんについて調べている際に、「がん生存率」という言葉を耳にしたことがある方もいるはず。がん生存率とは、がんと診断されてから一定期間後に生存している確率のことをいいます。
この記事では、がんの生存率や最新のがん統計について紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

1.がん生存率とは

がん生存率とは?

がん生存率とは、がんと診断されてから一定期間後に生存している確率のこと。治療効果を判定する重要かつ客観的な指標です。
がんの部位別に生存率を比較する場合や、がんの治療成績を表す指標ともなっており、「5年生存率」が最も多く用いられています。ほかにも、目的に応じて、1年、3年、5年、10年生存率、それらをつないだ生存曲線などもあわせて用いられることもあります。
生存率は、以下の項目に大きく影響を受けます。

    ●計算する対象の特性(性別や年齢)
    ●進行度(早期のがんか、進行したがんか)
    ●計算する対象の選び方(外来患者を含めるか、入院患者だけか、来院した患者をすべて含んでいるかなど)
    ●生存確認の方法(住民票照会をしているかなど)
       ※引用:国立研究開発法人国立がん研究センター|がん情報サービス

そのため、生存率をみて病院を比較したり、部位を比較したりする場合は、計算するのに対象となっているデータや具体的な計算方法について注意する必要があります。

2.がん生存率まとめ

がん生存率まとめ

ここでは、以下の3つの項目の生存率について詳しく紹介します。

    ●5年相対生存率
    ●
がんの10年相対生存率
    ●
がんサバイバー生存率

2-1. 5年相対生存率

5年相対生存率とは、「がんと診断された場合に治療によってどのくらいの命を救えるか」という指標の一つです。異なる集団や時点などを比べるための標準的な方法としてよく用いられます。
がんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合と、日本人全体(性別、生まれた年、および年齢の分布を同じくする日本人集団)で5年後に生存している人の割合を比べて、どのくらい低いかで判断します。
下記の表は、部位別のがん5年相対生存率を表しています。

がんの5年相対生存率


※引用:​​国立研究開発法人国立がん研究センター|がん情報サービス

2-2.がんの10年相対生存率

以下の表は、がんの10年相対生存率を表したものです。

がんの10年相対生存率

※引用:国立研究開発法人国立がん研究センター|がん情報サービス

このがんの10年相対生存率は、ピリオド法という算出方法が使われています。ピリオド法では、集計の対象を最近の数年間(5年程度)に追跡された患者集団に限定しています。この期間内の生存・死亡情報のみに基づいて生存率を算出しているのです。長期間の生存率の算出においては、最近の医療状況を反映することができるのが特徴です。
以下の表は、小児・AYA世代のがんの部位別のがん10年相対生存率をピリオド法で算出したものになります。

部位別がん10年相対生存率
※引用:​​国立研究開発法人国立がん研究センター|がん情報サービス

AYA世代とは、Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)の頭文字で、思春期(15歳〜)から30歳代までの世代を指します。右の表では29歳までの方が対象となっています。

2-3.がんサバイバー生存率

がんサバイバーとは、「がんが治癒した人」「がんに打ち勝った人」と勘違いされやすいですが、「がんが治癒した人だけでなく、がん診断を受けてから死を迎えるまでのすべての段階にある人」を指します。ここには治療中の方はもちろん、経過観察中の方も含まれます。
以下の表は、がんサバイバーの生存率を表したものになります。

がんサバイバー5年相対生存率
がんサバイバー5年相対生存率
がんサバイバー5年相対生存率
がんサバイバー5年相対生存率

※引用:​​国立研究開発法人国立がん研究センター|がん情報サービス

サバイバー生存率は、診断から一定年数後生存している人(サバイバー)の、その後の生存率を表したものです。たとえば、1年サバイバーの5年生存率は、診断から1年後に生存している人に限定して算出した、「その後の5年生存率」です。診断からは合計6年後ということになります。

3.最新がん統計まとめ

最新がん統計まとめ
国立がん研究センターが発表した最新のがんに関する統計データは以下のとおりです。

    ●2019年に新たに診断されたがんは999,075例(男性566,460例、女性432,607例)
    ●
2021年にがんで死亡した人は381,505人(男性222,467人、女性159,038人)
    ●
2009~2011年にがんと診断された人の5年相対生存率は男女計で64.1 %(男性62.0 %、女性66.9%)
    ●
日本人が一生のうちにがんと診断される確率は(2019年データに基づく)
       
男性65.5%(2人に1人)
        女性51.2%(2人に1人)
    ●
日本人ががんで死亡する確率は(2021年のデータに基づく)
        男性26.2%(4人に1人)
        女性17.7%(6人に1人)

※引用:国立研究開発法人国立がん研究センター|がん情報サービス

がん罹患数の順位
がん罹患数の順位
※引用:国立研究開発法人国立がん研究センター|がん情報サービス

男女別でがん罹患数とがん死亡数の順位をみてみましょう。男性では前立腺、女性では乳房の罹患数が1位となっています。一方で、死亡数は男性が肺、女性は大腸が1位となっていることが分かります。このように、がんは罹患数と死亡数が一致するわけではありません。
他の見方もできます。たとえば、肺を例にみてみましょう。罹患率が男性では4位、女性では3位であるのに対して、死亡率は男性が1位、女性が2位となっています。罹患率に対して死亡率が多いことから、肺がんは予後の悪いがんであるということが分かります。

4.がんの罹患についてのデータ

がんの罹患についてのデータ
がんの罹患とは、新たにがんと診断されることを指します。ここでは、罹患に関する下記の3つのデータを紹介します。

    ●どの部位のがんの罹患数が多いか
    ●
部位別のがんの罹患率
    ●
がんに罹患する確率

それぞれ詳しくみていきましょう。

4-1.どの部位のがんの罹患数が多い?

下記は部位別のがんの罹患数の統計データです。がんの罹患数とは、対象とする集団で新たにがんと診断された人数のことを指します。

部位別がん罹患数

※引用:​​国立研究開発法人国立がん研究センター|がん情報サービス

男性は前立腺、女性は乳房の罹患数が多いことが分かります。一方もっとも罹患数の少ない部位は、男性が乳房、女性が咽頭です。それぞれ、部位別のがんの罹患数は男女によっても異なることが分かります。

4-2.部位別のがんの罹患率は?

以下は、部位別のがんの罹患率の統計データです。がんの罹患率とは、罹患数を対象とする集団観察人数で割ったものであり、通常は1年間の10万人あたりの罹患数で表されます。

がんの5年相対生存率
がんの5年相対生存率

※引用:国立研究開発法人国立がん研究センター|がん情報サービス

以下は、がんに罹患する確率を累積罹患リスクで統計をとったものです。累積罹患リスクとは、ある年齢までにある病気に罹患する(診断される)おおよその確率のことです。

がんの5年相対生存率

※引用:国立研究開発法人国立がん研究センター|がん情報サービス

一生涯でがんに罹患する確率は、男性65.5%(2人に1人)、女性51.2%(2人に1人)といわれています。パーセンテージでみると、男性の方が罹患する確率が若干高いですが、男女ともに2人に1人ががんと診断される可能性があるということが分かるでしょう。

5.がん死亡率

がん死亡率
ここでは、がんの死亡に関する下記の3つのデータを紹介します。

    ●どの部位のがんの死亡数が多いか
    ●
部位別のがんの死亡率
    ●
がんで死亡する確率

それぞれ詳しくみていきましょう。

5-1.どの部位のがんの死亡数が多い?

以下は、部位別のがんによる死亡数の統計です。死亡数とは、対象とする集団で新たにがんによって一定期間の間に死亡した人数のことを指します。

※引用:国立研究開発法人国立がん研究センター|がん情報サービス

がん生存率とは?

死亡数がもっとも多い部位は、男性が肺、女性が大腸となっています。女性の死亡数の2位も肺であり、肺がんは男女ともに死亡数の多いがんであることが分かります。

5-2.部位別のがんの死亡率は?

以下は、部位別のがんの死亡率です。死亡率とは、死亡数を対象とする集団観察人数で割ったものであり、通常は1年間の10万人あたりの罹患数で表されます。

がんの死亡率
部位別がん死亡率

※引用:​​国立研究開発法人国立がん研究センター|がん情報サービス

5-3.がんで死亡する確率は?

以下は、がんで死亡する確率を累積死亡リスクで統計をとったものです。累積死亡リスクとは、ある年齢までにある病気で死亡するおおよその確率のことです。

がん生存率とは?
※引用:国立研究開発法人国立がん研究センター|がん情報サービス

生涯でがんで死亡する確率は、男性26.2%(4人に1人)、女性17.7%(6人に1人)。一生涯でがんに罹患する確率が、男性65.5%(2人に1人)、女性51.2%(2人に1人)であることから、がんに罹患したからといって必ずしもがんで命を落とすとは限らないということが分かります。

6.まとめ:がんは早期発見が大切|定期的に検診を受けよう

がんは早期発見が大切 定期的に検診を受けよう
この記事では、がんの生存率と最新のがん統計について詳しく紹介してきました。ここで紹介したデータはあくまでも統計であって、すべてがあなたに当てはまるわけではありません。
がんの生存率をあげるためには、「早期発見」が非常に重要です。どの部位のがんであっても早期発見であれば、生存率は上がります。
がんを早期発見するためには健康診断を定期的に受けることが大切です。定期的に検診を受けることで、がんが早期発見される可能性が高くなります。最低でも、1年に1回は検診を受けることでがんの早期発見に努めていきましょう。