原因や特徴・初期症状について
子宮体がんの基本情報
子宮体がんとは
子宮体部から発生するがんを「子宮体がん」といいます。子宮体がんには、子宮内膜に発生する子宮内膜がんと、子宮の筋肉に発生する子宮肉腫の2種類があります。
しかし、子宮体がんのうち、95%は子宮内膜がんといわれており、子宮肉腫は5%以下と非常にまれなケースです。そのため子宮体がんというとほとんどの場合は子宮内膜がんのことをさします。
子宮がん患者全体から見ても、子宮内膜がんの割合は30~40%に達します。子宮内膜がんの5年生存率は約85%と高いですが、がんが進行すると生存率は急速に下がり、3期では50%、4期では10~30%ほどとなります。
子宮肉腫の生存率はかなり低く、15~32%と報告されています。初期段階の1期でも生存率は50%にすぎず、2期で20%、がんが進行した3期以降になると10%とかなり低くなります。
子宮体がんの分類
1.子宮内膜がん
子宮体がんの95%以上は子宮内膜がんです。子宮内膜がんは、子宮体の内側をおおう子宮内膜ががん化したものです。
子宮内膜はもともとの性質として増殖しやすい細胞であり、妊娠を維持する黄体ホルモン(プロゲステロン)がないときに、やや高温の状態が続くと増殖を繰返し腫瘍になります。
2.子宮肉腫
子宮の結合組織(筋肉、骨、靭帯、死亡など)から発生するがんです。発生率は子宮体がんのうちの5%以下と少ないですが、進行が早いとされている怖いがんです。
子宮肉腫は3種類に分けられます。第一は子宮の筋肉から発生する「平滑筋肉腫」、第二は子宮内膜の腺を支える間質ががん化する「子宮内膜間質肉腫」、第三は上皮に生じるがん細胞と肉腫の細胞が混在しあう「癌肉腫」です。
子宮体がんの原因
子宮の結合組織(筋肉、骨、靭帯、死亡など)から発生するがんです。発生率は子宮体がんのうちの5%以下と少ないですが、進行が早いとされている怖いがんです。
子宮肉腫は3種類に分けられます。第一は子宮の筋肉から発生する「平滑筋肉腫」、第二は子宮内膜の腺を支える間質ががん化する「子宮内膜間質肉腫」、第三は上皮に生じるがん細胞と肉腫の細胞が混在しあう「癌肉腫」です。
子宮体がんの症状
子宮体がんは、初期からほとんどの人に自覚症状が出るのが特徴です。主なものは月経時以外に出血する「不正出血」です。
一時的な少量の出血、閉経後出血、閉経前の過多月経・不規則月経などは注意が必要です。また、出血が少量だと褐色のおりものになることが多いので、おりものの状態も気にするようにしましょう。
まぎらわしいのが、40代後半~50代の更年期世代です。更年期は、ホルモンバランスがくずれやすく異常な出血が起こりやすくなります。これを「閉経後にありがちな生理不順」「更年期の症状だから問題ない」と放置してしまうのは危険です。
出血の原因は検査をしてみなければ分かりません。放置している間にがんがんが進行しているという場合もあります。がんが進行すると、下肢の痛みやむくみ、排尿痛または排尿困難、直腸障害、性交時痛、性交後出血、貧血などの症状が出てきます。
子宮体がんの診断
1.細胞診
子宮体部に細い器具を挿入し、専用器具こすったり吸引するなどして細胞を採取します。採取した細胞を顕微鏡で観察し、「陰性」「疑陽性」「陽性」のいずれかの判定がでます。判定の詳細は下記のとおりです。
・陰性…正常範囲
ただし不正出血が続き場合は、その後の定期的な検査や組織診が必要。
・疑陽性…がんの確定はできないが、子宮内膜増殖症やがんを疑う細胞あり。
組織診などの精密検査を行い、子宮内膜増殖症の場合は、経過観察や治療をする。がん が確定すれば、さらに詳しい検査をして治療に入る。
・陽性…がんを強く疑う細胞が発見された。
組織診などの精密検査を受け、がんが確定すれば、さらに詳しい検査をして治療に入る。
2.組織診
細胞診で疑陽性や陽性の判定が出た場合や、症状から子宮体がんが強く疑われる場合は組織診を行います。
子宮内膜の一部を削り取り、顕微鏡で観察する方法で、子宮体がんの確定診断に結びつく検査です。正常な子宮内膜か、良性腫瘍(子宮内膜増殖症)か、子宮体がんかを判別するための検査でもあります。
3.子宮内膜全面掻爬(しきゅうないまくぜんめんそうは)
細胞診や組織診で診断できないときには、子宮内膜全面掻爬を行います。これは、全身麻酔をかけて子宮内膜を子宮体部全面から採取して調べる方法です。外来日帰り手術または短期入院で全身麻酔をかけて行うのが通常です。
子宮体がんの病期(ステージ)
0期 | A.がんは子宮内膜にとどまっている。 B.がんは子宮内膜に浸潤している(子宮壁の2分1以内) C.がんは子宮内膜に浸潤している(子宮壁の2分1以上) |
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I期 | A.がんは子宮頸の粘膜内にとどまっている。 B.がんは子宮頸の粘膜を越えて浸潤している。 |
II期 | A.がんは子宮の外側を覆う膜を越えて腹膜や卵巣・卵管に浸潤している。または腹水中にがん細胞が見られる。 B.がんは膣壁まで浸潤している。 C.がんは骨盤内または大動脈周囲のリンパ節に転移している。または、子宮内の骨盤を支える靭帯にまで浸潤している。 |
III期 | A.がんは子宮の外側を覆う膜を越えて腹膜や卵巣・卵管に浸潤している。または腹水中にがん細胞が見られる。 B.がんは膣壁まで浸潤している。 C.がんは骨盤内または大動脈周囲のリンパ節に転移している。または、子宮内の骨盤を支える靭帯にまで浸潤している。 |
IV期 | A.がんは膀胱や腸の粘膜まで浸潤している。 B.がんは骨盤を越えて遠隔転移している。または腹腔内や鼠径部のリンパ節に転移している。 |
子宮体がんの治療法
0期
子宮、卵巣、卵管の摘出術。妊婦希望者には子宮内膜掻爬とホルモン療法
Ⅰ期・Ⅱa期
子宮、卵巣、卵管の摘出術。リンパ節郭清もある。また術後、放射線治療も。
Ⅱb期
放射線治療と拡大子宮摘出術。リンパ節郭清も。
Ⅲ期
放射線治療と拡大子宮摘出術、さらにリンパ節郭清。抗がん剤治療、ホルモン療法も。
Ⅳ期
放射線治療、抗がん剤治療、ホルモン療法の単独か併用。緩和ケア、臨床試験への参加も。