再発と転移について
胆管がんの再発と初期症状、再発・転移の予防と治療方法
胆管がんの再発とは
胆管は、肝臓から分泌された胆汁を十二指腸へと流す管です。胆管がんは、胆管の内側の粘膜から発生して、周囲の組織にしみ込むようなかたちで広がっていくことが多いようです。そのため非常に進行が早く、最初に胆管がんと診断された時にはステージが進んでいるというケースが多々見受けられます。
胆管がんの手術は規模が大きく、また肝臓やすい臓といった重要な臓器にかかわるため通常のがんの手術よりも様々な面でリスクが高いとされています。このような危険性を伴う手術を行ったとしても根治するとは限りません。胆管がんは比較的再発の高いがんとして知られています。最初の治療で手術を行ってがん病巣を切除したとしても、目では確認できない細かいがん細胞が取り切れずに残ってしまい、やがて再発してしまうケースが少なくないのです。
胆管がんの転移とは
胆管がんの最初の治療の際に、手術による外科療法でがん病巣を切除したとしても、既にその時点で転移をしている場合があります。胆管がんと最初に診断された時点で、約50%に肝臓や腎臓、肺などへの転移が見られるというデータもあるようです。また、完全にがん細胞を切除することが出来ず、胆管内に残ったがん細胞が血液やリンパに乗って全身を回り転移をするケースもあります。
胆管は細いため、がん細胞が周囲に浸潤するスピードが速く、転移が起こりやすいのが特徴です。膵臓、肝臓、十二指腸、胆嚢といった隣り合わせの臓器に転移することもありますし、リンパ節や肝臓、腎臓などに遠隔転移しているケースもあります。また、がん細胞が胆管からこぼれてしまい、腹部の中に広く散らばり腹膜播種となってしまうケースもあるようです。胆管がんが他の臓器に転移すると根治を望むのは難しく、症状を抑えながら患者のQOL(Quality of Life=生活の質)の維持を目指した治療を行います。
胆管がんが再発したときの初期症状
胆管がんになると腫瘍が胆管をふさいでしまうため、胆汁の流れが阻害されることで黄疸が出ることがあります。黄疸は胆管がんの患者の80%に見られる症状です。胆管がふさがれ、胆汁が逆流して血管に流れ込み、血液中のビリルビン濃度が上がることで皮膚や白目が黄色っぽい色になります。黄疸は放っておくと生命にかかわる合併症を引きおこす可能性がありますので注意が必要です。
他には、胆汁の中にある胆汁酸という物質がビリルビンと共に血管内に流れ込むことで身体にかゆみが生じることがあります。また、胆汁が腸内に流れ込むことで便が白っぽい色になることがあります。胆管がんは非常に進行の早いがんであるため、自覚症状が現れた時点で既に進行しているケースが多々あります。定期的に検診を受診し、自覚症状が出るより先に胆管がんの再発を発見することが大切です。
胆管がんの再発・転移予防
胆管がんは胆石との関連があることから、再発・転移の防ぐには胆石を予防することが有効であるとされています。胆石の予防は下記のようなことに気を付けると良いと言われています。
・肉類、脂肪分、コレステロールの多い食事は控える
・疲れをためないようにする
・適度な運動をして肥満を予防する
・ビタミンCを摂取する
・1日3食バランスの良い食生活を心がける
・食物繊維を多く摂取する
また、がんのリスクファクターである喫煙や過度の飲酒は控えて、適度な運動をして健康的な生活を送ることも重要です。また、担当医の指示に従い、問診や腫瘍マーカー等の血液検査、CT 検査、腹部エコー検査などを定期的に実施して再発や転移の有無を確認することが大切です。
胆管がんの再発・転移が見つかったときの治療法
胆管がんを根治させる唯一の方法は、手術でがん病巣を取り除くことです。胆管がんが再発した場合、切除が可能であると判断され、かつ他にがんが散らばっていない場合にのみ手術による外科療法が用いられます。しかし、実際にはそのようなケースはまれであり、ほとんどの場合、抗がん剤による化学療法や放射線治療などで症状を抑えることになります。
胆管がんが他の臓器や器官に転移すると、ほとんどの場合で抗がん剤による化学療法が行われ、基本的に手術をすることはありません。手術でがん病巣を切除したとしても、すでに血液やリンパを通じて全身にがん細胞が巡っているため、他の部位に新たながんが出来てしまうことが予想されるからです。患者の負担を考慮し、手術以外の治療法を選択します。
転移した胆管がんに、まれに放射線治療を行うこともありますが、これは骨転移した際の疼痛の緩和を目的として行なわれるケースがほとんどです。また、胆管がんの患者のほとんどに黄疸が現れます。黄疸の症状が酷い場合、がんの治療に影響を及ぼすこともあります。そのため、がんの治療に先立ち、黄疸の治療を行います。こうすることで患者の症状が緩和されるとともに、がん治療の補助となるのです。こういった治療を「支持療法」といいます。