アロマの効果とは?
がん治療において免疫力を高めるということはとても重要なことです。がんに侵されると人の身体は免疫抑制という状態になり、免疫機能が正常に働かなくなってしまうからです。そのため、がん細胞が増殖しやすい状態になってしまい、治療に悪影響を及ぼすことがあります。
免疫力を高める方法には様々なものがありますが、近年ではアロマを用いて免疫力を高めるという方法に注目が集まっています。アロマテラピーという言葉を聞いたことがあるという人も多いでしょう。
「アロマ」とは「芳香」、「テラピー」とは「治療」という言葉を意味するフランス語です。フランスはアロマテラピーの先進国で、実際に医療の現場でアロマが用いられているのです。日本ではまだ馴染みが薄いかもしれませんが今後、さらにニーズは高まっていくことでしょう。
アロマが体に及ぼす良い影響
アロマというと、単に香りを楽しむものだというイメージを抱いている人が多いのではないでしょうか?たしかに香りによる癒しやリラクゼーション効果を求めてアロマを利用する人が多いのは事実ですが、アロマには人間が持っている自己治癒力を高める働きがあるのです。
アロマテラピーで使用されるのは、植物の花や葉っぱ、果実などから抽出された天然のオイルで、エッセンシャルオイルまたは精油と呼ばれています。原料となる植物は多岐にわたり、その数300種類以上と言われています。
このエッセンシャルオイルの香りを嗅ぐことで、嗅覚を通じて刺激が大脳辺縁系、視床下部へと伝わっていきます。視床下部には自律神経をコントロールする機能があり、その働きを整えることで免疫機能が活性化するのです。
また、好みの香りに包まれることで得られるリラックス効果も免疫力を高めることに一役かいます。人はゆったりと落ち着いた気持ちになると、免疫機能を正常化させる働きのある副交感神経が活性化するからです。
免疫力を低下させる症状と効果的なアロマについて
免疫力が低下する症状には様々なものがありますが、主なものとして、睡眠不足、ストレス、冷えなどが挙げられます。これらの症状が長期間続くと免疫機能が低下し、感染症をはじめとする様々な病気にかかるリスクが生じてしまいます。
眠りが浅い、夜中に何度も目が覚めてしまうという人にお勧めなのが、フローラル系の「ラベンダー」「カモミール・ローマン」、ハーブ系の「クラリセージ」「マジョラム・スイート」、柑橘系の「オレンジ・スイート」などがあります。これらのエッセンシャルオイルには交感神経と副交感神経のバランス保ち、質の高い睡眠へと導く作用があります。
また、日常的にストレスを感じている人は、フローラル系の「ゼラニウム」「ネロリ」、オリエンタル系の「イランイラン」「白檀」、柑橘系の「レモンバーム」「オレンジ・スイート」などがお勧めです。これらのエッセンシャルオイルには鎮静作用といって、苛立った気持ちを落ち着かせる作用があります。
冷え性の方には、柑橘系の「レモン」「オレンジ・スイート」、ハーブ系の「ローズマリー・シオネール」「マジョラム・スイート」、フローラル系の「ラベンダー」などを試してみると良いでしょう。これらのエッセンシャルオイルには、血の巡りをよくして体を温める作用があります。
アロマの効果的な使用方法
アロマは免疫力を高めるための方法として大変有効な手段ですが、正しく使用しなければ効果は半減してしまいます。アロマには様々な利用方法がありますが、最も一般的なのが芳香浴です。
芳香浴とは、アロマポットやアロマディフューザーを用いて、室内にエッセンシャルオイルを拡散して香りを吸入する方法のことです。部屋の中が芳香に包まれますので、リラクゼーション効果も絶大です。ディフューザーなどがない場合は、ハンカチやティッシュなどにエッセンシャルオイルを数滴垂らして机や枕元に置くなどしても同様の効果が得られます。
また、沐浴といってエッセンシャルオイルを垂らしたお湯につかるという方法があります。沐浴には、全身浴、半身浴、手浴、足浴などがあります。全身浴をする場合は、お湯をはった湯船に5滴ほど、半身浴の場合は3滴ほどエッセンシャルオイルを垂らします。
お湯につかりながら身体をゆっくりマッサージすると、よりリラックス効果が得られます。手浴は洗面器や洗面所のシンクなどにお湯をはり、オイルを2~3滴垂らして手を浸します。足浴はバケツやタライなどにお湯をはり、オイルを2~3滴垂らして足を入れます。
他にはフェイシャルスチームという方法があります。洗面器などに80度程度の熱いお湯を注ぎ、その中にエッセンシャルオイルを2~3滴垂らし、立ち上る湯気を吸いこむのです。
お湯からは30㎝ほど顔を離し、目をしっかりと閉じるようにしてください。また、湯気を逃がさないよう頭からタオルなどをかぶるとより効果的です。
いずれの方法も使用するオイルの量を守りましょう。多く使えば効果が強くなるというものではありません。また、肌の弱い人はエッセンシャルオイルを直接肌につけないよう気を付けてください。
監修:孫 苓献
広州中医薬大学中医学(漢方医学)博士・アメリカ自然医学会(ANMA)自然医学医師・台湾大学萬華医院統合医療センター顧問医師