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緩和ケアにかかる費用

緩和ケアにかかる費用 ~入院の場合~

がん患者やその家族にとって緩和ケアにはどのくらいの費用がかかるのかということは非常に気になる点ではないでしょうか。緩和ケアは通常のがんの治療と並行して行うことも多いため、その場合は費用が上乗せとなってしまうからです。緩和ケアを受けることを検討しているのなら費用については事前にしっかりと把握しておく必要があると言えるでしょう。

緩和ケア病棟に入院する際の入院費は、「緩和ケア病棟入院料」が適用されます。緩和ケア病棟入院料は入院する期間に応じて1日あたりの費用が異なります。入院日数が30日以内の場合は1日あたり49,260円、31~60日の場合は1日あたり44,120円、61日以上となる場合は1日あたり33,840円となります。

これは厚生労働省によって定められた定額の料金であり、全国どの医療機関でも一律となっていいます。なお、緩和ケア病棟入院料は医療保険の対象となりますので、社会保険や国民健康保険の各種健康保険を適用すると患者の負担額は上記の金額の1割ないし3割となります。

緩和ケアにかかる費用 ~在宅の場合~

在宅での緩和ケアを希望する人も多いとは思いますが、自宅に医師や看護師が訪問するという性質上、費用が高額であるというイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。

しかし、在宅での緩和ケアも医療保険の適用となりますし、入院の費用と比較すると決して高額な料金設定ではありません。病状によっては積極的に利用すべきでしょう。

在宅での緩和ケアにかかる費用は厚生労働省によって定められた「在宅末期総合診療料」が適用されます。在宅末期総合診療料は1週間のうちに医師による訪問診療が最低でも1回、それを含め看護師または医師による訪問が4回以上おこなわれた場合に算定することが出来る費用です。

1日あたり15,000円で、1週間単位(15,000円×7日=105,000円)で請求をします。このように在宅末期総合診療料は、1週間のうちに医師や看護師による最低訪問日数を満たしたときに算定できる費用ですが、訪問のなかった日も費用が発生するという点においては疑問視する人がいるのも事実です。

しかし、「緩和ケア病棟入院料」と比較すると料金は安く比較的利用しやすいと言えるではないでしょうか。

緩和ケアの自己負担額について

緩和ケアを受けるにあたって、全てが医療保険の対象となるわけではありません。自己負担額についても事前に把握をしておく必要があるでしょう。

入院の場合、「食事医療費」、「差額ベッド代」、「雑費」が自己負担となります。食事医療費は入院日数に関わらず1食あたり260円、1日780円と定められています。

また、場合によっては差額ベッド代が必要となります。差額ベッド代とは、病床数が4床以下の病室に入院するときにかかる費用です。差額ベッド代の設定は各病院によって異なりますが、全国平均は1日あたり5,918円とされています。差額ベッド代も医療保険の適用外であるため全額が自己負担となります。

ただし、差額ベッド代は患者が同意書にサインをした場合に発生するものであり、事前の了承なしに個室を用意されて一方的に病院側から費用を請求されることはありません。また、病室の空き状況などといった病院側の事情で個室に入る場合などは、差額ベッドの請求は出来ないようになっています。

なお、緩和ケア病棟の場合、病床の半数以上は差額ベッド代が発生しないようにしなければならないという決まりがあります。差額ベッド代は決して安価な費用ではないため、場合によっては病床が空くのを待たざるを得ないという状況もあるでしょう。

そのほかに、寝具や衣類、テレビカード代などはいずれも雑費扱いとなり、こちらも自己負担となります。また、在宅での緩和ケアでは、訪問に際しての医師や看護師の交通費や衛星材料費などは保険の適用外となりますので自己負担となります。

緩和ケアは高額療養費制度の対象となる

緩和ケアは料金が高額ではありますが、かかった費用は高額療養費制度の対象となります。高額療養費制度とは、同一月内で要した医療費が一定の額に達した場合に、申請をすることで後から払い戻しが受けられる制度のことです。

複数の医療機関や薬局を利用していてもすべて合算が可能ですし、同一世帯内であれば家族の医療費も合算することができます。ただし、申請をしてから実際に払い戻しを受けるまでには約3ヶ月という時間を要します。

なお、後から払い戻しを受けられるとは言っても、一時的に支払う医療費が高額で負担が重いという場合は、限度額適用認定証の交付を受けることで、一ヶ月間に窓口で支払う医療費に上限金額が設定されるようになります。

設定金額は所得によって異なるため一概には言えませんが、患者やその家族の経済的な負担の軽減につながることは間違いないでしょう。

他にも高額医療費貸付金と呼ばれる、高額療養費支給見込額の80%に相当する金額を無利子で借入出来る制度もありますので、必要に応じ利用を検討するのも良いでしょう。

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監修:孫 苓献

広州中医薬大学中医学(漢方医学)博士・アメリカ自然医学会(ANMA)自然医学医師・台湾大学萬華医院統合医療センター顧問医師